ガスコンロは経年劣化によって目には見えないところにトラブルが生じることも多く、古い製品では交換部品を探すのも難しくなってくるため、10年程度が寿命であるといわれています。
また、キッチンは毎日使用するため、どうしても汚れがたまってきてしまうもの。
掃除しても汚れが落ちなくなってしまった、使用するうえで不便を感じているなどの理由でキッチンのリフォームを検討されている方もいらっしゃると思います。
当コラムではガスコンロにフォーカスをあてて、ビルトインコンロって何?という方から実際に交換を検討されている方までわかりやすいように、魅力や選び方のポイントを丁寧にご紹介いたします。
目次
ビルトインコンロって何?
ビルトインコンロとは、キッチンに埋め込んで設置するタイプのコンロのこと。
キッチン台との間に継ぎ目がないフラットな構造が特徴で、設備が全て一体となった「システムキッチン」に採用されます。
機能性の高さと高級感のある見た目から新築やリフォームにおいても数多く採用されており、現在の住宅事情において主流となっています。
ビルトインコンロは加熱方法の違い(ガスと電気のどちらを使うか)によって「ビルトインガスコンロ」と「ビルトインIHクッキングヒーター」に分けられます。
当コラムでは「ビルトインガスコンロ」について詳しく解説していきます。
特徴
お手入れが簡単
ビルトインガスコンロはキッチン台との間にスキマがないので、野菜くずが落ちたり、油汚れが入りこんだりする心配がありません。また、昔の機種と比較すると、最新のビルトインガスコンロは汁受け皿がなくフラットな構造となっており、便利なお手入れ機能もさらに充実しています。
- 水だけで油汚れを取ることが可能
- 表面温度を抑え、焦げつきを防ぐ
- グリル庫内のセルフクリーニング機能
などなど、便利仕様がいっぱいです。
安心・安全
現在販売されているビルトインガスコンロは「Siセンサー」と呼ばれる使用時の温度異常を感知する装置を標準搭載。ガス漏れや空焚きを見張ってコンロが原因で起こる火災を防止します。
さらに、最新の機種では地震による揺れを感知して自動で元栓を閉める【感震停止機能】や、鍋を置いていない状態では点火せず、一定時間鍋が検知できないと自動消火する【鍋なし検知機能】など、さらに進化した安全機能を搭載。
万が一の事態に備えて、キッチン周りの不安を解消します。
リンナイ | ノーリツ |
焦げ付き自動消火 鍋なし検知機能 揺れピタ機能 グリル加熱防止 グリル消し忘れ消化 点火ロック | 焦げ付き自動消火 鍋なし検知機能 感震停止機能 グリル加熱防止 グリル防炎防止 プレートルック機能 |
意匠性
キッチンに馴染むスタイリッシュなデザインも特徴の1つ。
また、同機種のカラーバリエーションも豊富です。
従来のガスコンロはほとんどがブラックやシルバーといった落ち着いた色合いでしたが、現在の機種ではオレンジ・ピンク・ブラウンなど豊富なカラーリングが採用されています。
機能面ばかり重視してしまいがちなガスコンロですが、ビルトインコンロであれば、キッチンの雰囲気に合わせてインテリアの1つとして選ぶ楽しみもあります。
充実の便利機能
自動温度調節機能や、それらを使ったオートメニュー機能、最新型のものではアプリによる調理サポートやIoT対応など、従来型のガスコンロにはない機能が満載です。
日々の料理スタイルに合わせて、多彩な機能の中からご自身にぴったりのものを選択することができます。
グレード別の機能はこちらより確認ください。
据置ガスコンロと何が違うの?
ビルトインガスコンロとよく比較されるのは「テーブルコンロ」や「ガステーブル」とも呼ばれる据置型ガスコンロです。
こちらは流し台・調理台・コンロ台といった独立したパーツを組み合わせて作る「セクショナルキッチン」に採用され、コンロ台の上に乗せる形で設置されます。
設置の簡単さ
ひとりで持ち運びができ、取り付けも簡単で扱いやすいのが据置き型の最大のメリット。
ビルトインガスコンロはシステムキッチンに埋め込む都合上、取り付けの際に専門業者による工事が必須であり、移動や取り外しも簡単にはできません。設置の簡単さは据置型ガスコンロのほうが優れています。
価格
価格面では据置型ガスコンロのほうがリーズナブルなため、「1人暮らしで一時的にコンロが必要」といったケースではこちらが優先的に採用されることもあります。 スキマに食材が落ちて掃除が大変などのデメリットもありますが、手になじんだ形で使いやすいという声も多く、愛用者も多いコンロタイプです。
ビルトインガスコンロと比べて
ビルトインガスコンロのほうが優れているのは、主に[機能面・お手入れの簡単さ・意匠性]の3つです。
機能面では、据置き型の上位モデルに搭載されている機能がビルトインガスコンロに標準搭載されており、そこからグレードが上がるにつれてお手入れをより簡単にするなど+αの機能が搭載されるイメージです。
また、ガスの配管や余計なスキマが露出せず、見た目がおしゃれなこともビルトインガスコンロの魅力の一つです。
もちろん、レトロな雰囲気の据置型も長年愛され続けているモデルであるため、見た目に関しては好みがわかれそうですね。
システムキッチンにしか設置できない?
そんなビルトインガスコンロですが、システムキッチンでないと採用できないのでしょうか。
まずはキッチンの種類について簡単に説明いたします。
キッチンの種類について
キッチンは調理台・流し台・コンロなど、さまざまな設備によって構成されており、組み合わせの方法によって大きく2つのタイプに分かれます。
セクショナルキッチン
流し台・調理台・コンロ台といったパーツがそれぞれ独立しており、これらのユニットを組み合わせて作られるキッチンです。「セパレートキッチン」「ブロックキッチン」などの呼び方もあります。 |
システムキッチン
流し台・調理台・コンロなどの設備が「ワークトップ」と呼ばれる板でつながっている一体型のキッチンです。各設備の間にスキマがないのが特徴で、統一感のある色やデザイン、材質で構成することができます。 |
ビルトインコンロはシステムキッチンに組み込まれる前提で作られているので、セクショナルキッチンに導入される場合、基本的にはシステムキッチンへのリフォームが必要となります。
しかし、「ガスキャビネット」を使えばセクショナルキッチンへの導入は可能であるため、システムキッチンでしか使えないということはありません。
ガスキャビネットについて
ガスキャビネットとは、ビルトインコンロを埋め込むことができる収納付きのユニットのことです。
メーカーによっては「ナイスアップ」「システムアップ」と呼ばれることもあります。
ガスキャビネットを使うと、セクショナルキッチンをシステムキッチン風に簡易リフォームすることができます。
※オンライン上での取り扱いはございませんので、ガスキャビネットをご検討の場合は見積り依頼の際にその旨ご記載いただくか、直接店頭にお問い合わせください。
●システムキッチンと比べて安価
●大規模な工事なしにリフォームできる
●流し台、調理台単体での交換が可能
●位置の組み換えが可能
といったメリットがあり、従来型のキッチンタイプでありながら採用されているご家庭は多いです。
スキマが多くて掃除が大変、設置できる製品のサイズが限定されている場合がある、限られたシリーズでの展開となるため見た目の自由度が低いなどのデメリットと相談して、採用を検討されるとよいでしょう。
ビルトインガスコンロのメリット・デメリット
ビルトインガスコンロはお手入れのしやすさ、見た目のおしゃれさ、機能性において従来品よりも優れていますが、基本的にシステムキッチンでしか採用できないこと、設置に工事が必要になること、従来品と比べて価格が高いことがデメリットです。
この部分をクリアできるのであれば、キッチンのリフォームを考えている方全員におすすめできるガスコンロといえます。
それでは、次はビルトインガスコンロを選ぶポイントについて見ていきましょう。
何を選べばいい?ビルトインガスコンロの選び方
ビルトインガスコンロの魅力はなんとなく伝わったでしょうか。
多くのメリットがあるビルトインガスコンロですが、いざ選ぶとなるとなかなか何を基準に見たらいいかわからないですよね。
特に機能面では搭載されている機能が非常に多く、さらに同じ機能でもメーカーごとに呼び名が異なる場合もあるため、ますます混乱してしまいます。
この項目ではビルトインガスコンロを選ぶ際に確認するべき基準についてわかりやすく説明していきます。
必要な機能を選ぶ
ビルトインガスコンロは価格によってグレードがあり、それぞれ搭載されている機能に違いがあります。
機能面をどこまで充実させるかによって価格が大きく変わってくるため、まずはご自身の料理スタイルに合わせて最低限必要な機能を備えているモデルを選択して、そこから+αの要素を考えていくのがおすすめです。
スタンダードモデルの機能
標準的な機能を備えたスタンダードなモデルです。
価格帯は工事費込みで 【~100,000円】ほどになります。
- 自動温度調節【コンロ】
料理に応じてお好みの温度を設定すると、自動で火力を調節してキープする機能です。
煮ものや炒めものに対応した機種もあり、フライパンをホットプレートのように使うことも可能です。
10℃刻みで温度を設定できる場合が多く、火加減が難しい玉子焼きやホットケーキも焦がすことなく作れます。
- W高火力【コンロ】
従来型のコンロでは左右のどちらかが高火力、もう片方が標準火力という作りが主流でしたが、現在販売されているモデルでは両方のバーナーで高火力を使うことが可能です。
- 水無し両面焼き【グリル】
従来型のグリルでは魚を焼くときに、発火予防と煙やにおいの抑制のために水を入れ、焼き具合に応じてひっくり返す必要があります。現在販売されているモデルでは、この手間な作業を行う必要がなく、水無しで両面同時焼きが可能です。
上下のバーナーで加熱するため焼きムラができにくく、調理時間が大幅に短縮されます。
- あたためモード【グリル】
揚げものなどを、直火でサクッとあたため直しできる機能です。電子レンジでは衣に水分が移ってベタッとした仕上がりになりがちですが、グリルのあたため機能では中をしっかりと加熱しつつ、外側の焼き上げが可能です。
- タイマー機能
タイマーをセットし、設定した時間が経過すると自動で消火する機能です。コンロ・グリルの両方に搭載されており、調理終了をブザーでお知らせします。
ミドルグレードモデルの機能
標準機能+αを備えたモデルです。
グリル機能が充実し、安全性やお手入れ性が向上しました。
価格帯は工事費込みで 【160,000円】ほどになります。
- カンタンお手入れ機能
ノーリツの機種では水だけでこびりついた汚れや油汚れをふき取ることができる【親水アクアコート】、リンナイの機種ではバーナー周りの温度を下げて焦げつきをなくす【イージークリーン】など、汚れが落ちやすいコーティングを採用。日々のお手入れの手間を減らします。
- スモークオフ機能【グリル】
グリル庫内に搭載された専用バーナーで、調理時に発生したにおいや煙を焼き切るリンナイ製品の機能です。
排気口から出るにおいを99%以上カットできるため、リビング一体型のキッチンや賃貸住宅にお住いの方におすすめ。
ノーリツ製品では「スモークカット」がほぼ同様の機能となります。
- 炊飯機能【コンロ】
火力を自動調節してごはんの炊き加減を調節するもっちりごはんモード、炊き込みごはんモードを備えた高スペックな炊飯機能です。ガスを使った高火力で、蒸らし時間を含めて約30分で釜炊きごはんがおいしく炊き上がります。スタンダードモデルにも炊飯機能はついていますが、より繊細な調理が可能となっています。
- レンジフード連動
ビルトインコンロの点火/消火と連動して、レンジフードの運転/停止が自動的に行われます。付け忘れの心配がなく、スイッチの消し忘れがなくなるので節電対策にもなります。
- オートグリル機能【グリル】
選択した食材に最適な焼き時間と火力を自動でコントロールし、調理が終わるとお知らせと消火を行う機能です。トーストや焼き魚、あたため直しなどに対応し、忙しい時でもボタン1つで自動調理が可能です。
- 安全機能
震度4以上の揺れを感知したときに、ガスを遮断して強制的に消火を行う「感震停止機能」がついています。いざという時にキッチンの安全を確保します。(ピアットに関しては別売り部材での対応となります)
ハイグレードモデルの機能
より便利に、よりおいしく料理をするための機能を搭載したハイグレードなモデル。特製容器やアプリに対応し、様々なレシピをボタンひとつで作れます。
価格帯は工事費込みで【220,000円】 ほどになります。
- マルチグリル
一般的なグリルに採用される焼き網を使用せず、すべてのグリル調理を専用容器で行います。豊富なオートメニュー機能とセンサー付きのバーナーが連動して自動調理を行うため、食材を切って容器に入れるだけでOK。焼きものだけでなく、煮る・蒸す・燻す・解凍焼き上げ・発酵焼き上げ・低温調理といった繊細な料理もボタン1つで可能です。(ノーリツのみ)
- 専用アプリ対応
専用アプリでプロが監修するレシピを閲覧でき、それらを本体に読み込ませることで、特製容器を使った自動調理による再現が可能です。他にも、料理だけでなく家事全体をサポートする機能が満載です。(リンナイのみ)
- 特製容器「ザ・ココット」
コンロ上でもグリル上でも使用可能で、上記のアプリに対応する密閉型の容器が付属します。コンロでは80℃の低温調理から無水調理・蒸し調理など、グリルではオーブン調理や解凍調理などが可能で、コンロで焼き目をつけてグリルでオーブン調理をするなど、これ1つで料理の幅がグンと広がります。グリル内では油が一切飛び散らず、お手入れは容器のみで済むのもうれしいポイントです。(リンナイのみ)
- 安全機能
鍋のない状態で点火した際に「鍋を置いてください」など、コンロ・グリルの状況や安全上のご案内を音声で行う音声機能のほか、鍋なし検知機能・感震停止機能・専用容器がセットされていないと火がつかない機能(プレートルック機能)・吹きこぼれなどで火が消えた際に自動で消火する機能(立消え安全装置)、他にもお子様のいたずらによる点火を防ぐロック機能など、さまざまな安全機能を搭載しています。
サイズを選ぶ
ビルトインガスコンロのサイズは2種類
ビルトインガスコンロにおける「サイズ」は天板の幅のことを指します。
天板は最上部にあるプレートのことです。
サイズには【75cm】【60cm】の2種類があり、火口の間隔に違いがあります。
グリルの幅はどの機種も同じであり、天板の幅は設置に影響しないため、使いやすさを考えてお好みのサイズを選ぶことが可能です。
ただし、注意点としてレンジフードの幅より大きいサイズのビルトインコンロは消防法により設置できません。
特に60cmから75cmに取替えを検討されている場合は、レンジフードの幅もしっかり確認するようにしましょう。
どっちを選べばいいの?
●75cmのおすすめポイント
- コンロ内のスペースを広く確保できる
(調理済の鍋を仮置きできたり、何かと便利) - バーナーの間隔が広いので、大きいサイズの調理器具をゆったり使える
●60cmのおすすめポイント
- 調理スペースが広くなる
- 75cmと比べて価格が少しだけお手頃
それぞれのおすすめポイントはこんな感じです。
75cmは広々とした印象、60cmはコンパクトな印象のキッチンによく合います。
両方のサイズが用意されているモデルが多いので、ご自宅のキッチンの広さに合うものを選ぶのが良いでしょう。
●サイズ違いの製品を選ぶ際の注意点
- 60cm→75cmの場合
レンジフードの幅に注意しましょう。交換前のコンロサイズに合わせてレンジフードを設置している場合、サイズアップができないことがあります。
- 75cm→60cmの場合
サイズダウンする場合、元の天板の跡が残ってしまうことがあります。
交換工事の時に確認いたしますので、お見積り依頼またはお問い合わせの際にその旨お伝えください。
バーナーの数を選ぶ
現在販売されているビルトインガスコンロの多くは3口タイプですが、2口の商品も一定数販売されています。
海外仕様の製品では4口のコンロも存在しますが、基本的には以下の2タイプから選択になります。
古いタイプのコンロでは左右のどちらのバーナーを高火力にするか選択する必要がありましたが、現在はほとんどのモデルが両バーナー高火力に対応しているため、選択するのはバーナー数だけで大丈夫です。
●3口タイプ
日本のビルトインガスコンロの標準仕様です。 現在発売されているビルトガスインコンロは、大半が3口タイプになります。 同時調理が捗ることはもちろん、調理が済んだ鍋を保温しておけたりと、何かと便利な使い勝手のよさがポイント。選べる機種の数も多いので、迷ったら3口タイプで間違いなしです。 |
●2口タイプ
バーナーの数を2つに絞ったタイプです。 限られたシリーズでの展開ですが、小世帯での使用に特化したもの、バーナーの数を減らした代わりに操作パネルを天板に設置したものなど、個性的な製品が多いのが特徴です。 デザイン性を重視し、あえて2口コンロを採用したハイグレードモデルも存在します。 |
基本的には3口タイプがおすすめですが、少人数やシニアのご家庭の方、以前3口タイプを使っていたが後ろバーナーをあまり使用しなかった、といった場合には2口タイプを検討されるとよいかもしれません。
2口タイプの製品はバーナーが少ないぶん天板が広く感じられ、シンプルさを活かした個性的なモデルが採用されていたりと「ならでは」の要素も多いので、ぜひ一度目を通してみてください。
ガスの種類を確認する
ビルトインガスコンロは製品によって対応するガスの種類が決まっています。
家庭で使われているガスは大きく以下の2つに分けられるので、ご自宅のガスがどちらであるかを確認して、それに合った製品を選ぶ必要があります。
- 都市ガス
- LPガス(プロパンガス)
基本的にどの製品も【都市ガスタイプ】【LPガスタイプ】の2種が用意されていますが、一部ハイグレードモデルでは都市ガスにしか対応していないシリーズもあるので、お選びの際にはしっかりチェックするようにしましょう。
天板を確認する
天板は製品によって選べる色や柄が異なり、素材によって性質やお手入れのしやすさが異なります。
ビルトインガスコンロの見た目はほとんど天板によって決まるといっても過言ではなく、機能面と並んで価格や使い勝手に大きく関わってくる要素です。
デザイン性やお手入れ性を重視される方は天板から製品を選んでいくのもいいかもしれませんね。
それでは、現在販売されているモデルに採用されている素材を見ていきましょう。
ガラストップ
見た目が美しく、耐久性にもお手入れ性にも優れている現在主流の天板です。
重い鍋を落とすなど一点に集中するような強い衝撃を受けると割れてしまうこともありますが、フラットな強化ガラスでできており、頑丈で傷にも強いです。
スタンダードモデルからハイグレードモデルまで幅広く採用されており、
現在販売されているモデルを購入される場合、大半はガラストップから色を選択する形になります。
●リンナイ・ノーリツのガラストップ比較
2大メーカーのガラストップを比較すると、それぞれ特徴があることがわかります。
頑丈さを重視される方にはリンナイ、お手入れの簡単さを重視される方にはノーリツがおすすめです。
●リンナイ
- ドイツ製のセランガラスを採用
車のフロントガラスにも使われる素材でとても頑丈
- 【ヒートオフ構造】
天板が熱くなりずらく、汚れたらすぐにふき取れる
●ノーリツ
- 日本製の結晶化ガラスを採用
- 【親水アクアコート】
固まった汚れも水で浮かせて簡単に落とせる特殊加工
うっかり掃除を忘れがちな人におすすめ
ガラスコート(パールクリスタル)
ガラストップとよく似た名前ですが、こちらはホーローの上にガラスコーティングを施した天板の事を指し、リンナイでは「パールクリスタル」と呼ばれます。
弊社取扱製品では【マイトーン】のラインシルバー以外の色が該当します。
ガラストップのような透明感はありませんが、ガラス素材特有の美しいツヤと輝きがあります。鉄素材の頑丈さとガラスの光沢感を合わせ持つハイブリット素材といったイメージですね。
割れにくく衝撃に強いですが傷つきやすく、傷からコーティングが剥がれることがあります。
ホーロー(メタルトップ)
鋼板にガラス質のコーティングを施した素材を「ホーロー」または「メタルトップ」と呼びます。弊社取扱製品では【Metal】が該当します。
丈夫で衝撃に強く、ガラスと違って割れる心配はありません。
透明感はなく、「昔ながらのコンロ」をイメージさせるマットな素材感が特徴です。
ガラス素材と違って硬いものでこすって汚れを落とすこともできますが、塗装が弱く傷がついた箇所からサビが発生することがあります。
安価なモデルを選ぶならホーロー天板となる場合がほとんどです。
アルミトップ
アルミを削り出して作られるハイグレードな天板です。
熱伝導がよく熱の分散も早いというアルミならではの特徴が、汚れの焼き付きやこびりつきを抑えます。ガラス素材にはないメタリックな質感も特徴です。
弊社取扱製品では【ピアット ラックリーナ】に採用されており、加えて当製品には水や油をはじく「テフロン加工」がなされているため、お手入れ性が非常に高いモデルとなっています。
アルミは比較的柔らかい金属であるため、お手入れの際に硬い物で強くこすると傷がつきやすい点は注意が必要です。
ゴトクの種類を選ぶ
ゴトクとは、バーナー部分に取り付けて鍋を支える、ガスコンロの足の事です。
従来型のコンロでは「汁受け皿」と「ゴトク」がセットで使われることが多く、どちらも火のそばに設置されるために汚れがこびりつき、形状も相まってお手入れしずらい部分の代表格でした。
しかし、 最近のビルトインコンロのゴトク周りはフラットな形に進化し、従来のような汁受けが無いため、お手入れがしやすくなっています。
ゴトクは2種類から選ぶ
現在販売されているビルトインコンロのゴトクは細身で軽量化したものがスタンダードです。
多くのコンロに採用されているのは「ホーローゴトク」であり、ミドルグレードの一部製品、ハイグレード製品では「ステンレスゴトク」が選択できます。
それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
●ステンレスゴトク
【メリット】
熱に強く、かつ熱伝導率が低いため汚れがつきにくい
耐久性・腐食耐性が高くサビない
見た目に高級感がある
【デメリット】
使用に伴って変色する(焼き色がつく)
●ホーローゴトク
【メリット】
熱に強く、簡単にはサビない
ガラス質塗装により傷や汚れが目立ちにくい
【デメリット】
熱伝導率が高く汚れがつきやすい
塗装が欠けるとサビることがある
ステンレスゴトクのほうが全体的に高機能であり、焼き色がつくことを気にしないのであればステンレスをおすすめします。
もちろんホーローも優秀な素材であることは間違いないので、どちらを選んでも使い勝手に困ることはありません。
各メーカーの特徴と違い
アークホームのWebサイトでは【リンナイ】【ノーリツ】の2大メーカーの製品を取り扱っています。
各メーカーの製品の特長をご紹介します。
天板(ガラストップ)の特長
頑丈、焦げ付きを防ぐ
デリシア・リッセ及び他一部機種の天板はドイツのショット社によって作られたセランガラスを採用しており、とにかく頑丈。表面が硬いため、固まった汚れをガリガリ削り取ることも可能です。 お手入れ機能としてはイージークリーンを搭載。 アルミパネルによりバーナーまわりの熱を分散・放熱させてトッププレートの表面温度上昇を抑え、煮こぼれや油はねなどの汚れが焦げつきを防ぎます。 汚れがついたらサッとひと拭きでキレイを保ちます。 ※ミドルグレード以上のモデルに限ります。 |
水だけで汚れが落ちる
ノーリツの天板は日本電気硝子によって作られた結晶化ガラスを採用しています。 表面にはコーティングが施されているため、硬い素材のものでお手入れをすることはできません。 お手入れ機能としては親水アクアコートを採用。 水だけで汚れを浮かせることができるので、こびりついた汚れも水に浸しておくと、ひと拭きするだけで簡単に落とすことができます。ついついお手入れを忘れてしまう方におすすめです。 ※【Metal】以外のモデルに採用されています。 |
バーナー部分の特徴
バーナーキャップの凹み
リンナイのバーナーはキャップ部分にへこみがあり、その部分に汚れが入り込む可能性があります。 |
ゴトクに汚れがつきにくい
リンナイのゴトクは左右が少し長い楕円型になっています。 円の部分は細く、ゴトク自体に汚れがつきにくくなっています。 ゴトクを取り付けるバーナーリングは天板に固定されており丸洗いはできませんが、汚れをはじく撥水加工と二重のパッキンによって煮こぼれや汚れの内部侵入を防ぐ「スーパーシールド構造」を採用しています。 |
バーナーキャップの凹凸
ノーリツのバーナーはキャップ部分がせり出しており、お手入れの際に引っ掛かりを感じます。 |
コンロ内に汚れが入り込みにくい
バーナーリングカバーが取り外し可能で、手軽に丸洗いすることができます。 また、上位モデルではゴトクとバーナーリングカバーが一体化している「ラックリングゴトク」が搭載されており、洗うパーツが減ってお手入れがスムーズです。 さらに、バーナー周りに耐熱パッキンを二重装着した「シールドトップ構造」により、煮こぼれがコンロ内部に入りにくくなっています。 |
グリルの特徴
すべてのグリルが焼き網形式
リンナイのグリルはどのモデルも焼き網形式になっています。 グリルの各パーツは簡単に取り外し可能で、グリル皿はクリアコート加工が施されているため、水で洗い流すだけで簡単にお手入れができます。 |
油跳ねガード
リンナイの機種はココップレートと呼ばれる蓋つきの調理容器に対応しており、グリル庫内に油が飛び散らないようになっています。 切れ目から飛び散る油は800℃のバーナーで焼き切るように計算されており、グリル庫内の汚れを99.9%カットすることができます。 |
スモークオフ機能
ミドルグレード以上の機種にはスモークオフ機能が搭載されています。 グリル庫内の後方に搭載された専用バーナーで、焼き魚などの調理時に発生したニオイや煙を焼き切ります。 においを99%以上カット、煙を81%カットと、優れた脱煙・脱臭効果を発揮します。 |
焼き網がない機種もある
ノーリツの上位モデルでは焼き網を採用せず、専用のプレートを使って調理する「マルチグリル」が搭載されています。 マルチグリルのイチバンの特徴は温度センサーがついたバーナーを搭載していること。さらに、専用容器を使って調理することが前提で作られているため、豊富な食材の自動調理に対応しています。 [煮る・蒸す・燻製・スイーツやパンを焼き上げる]など従来のコンロでは難しかった調理も可能です。 もちろん通常の焼き網を搭載したモデルも充実しており、焼き網専用のクックボックスも用意されています。 |
スモークカット機能
マルチグリルタイプの機種にはスモークカット機能が搭載されています。 特殊な燃焼方式により、焼き魚などの調理時に発生する煙を大幅に軽減できます。 排気口から出るにおいを92%カット、煙を80%カットし、快適に調理ができます。 |
専用容器の特徴
ココットプレート
リンナイのほとんどの機種に対応している調理容器で、前項で解説のとおり油跳ねを大幅カットし、焼き網のお手入れの煩わしさを軽減します。 ココットプレートはハイグレード機種だけではなく、スタンダード機種にも付属しているのがうれしい点です。リンナイ製品を購入される場合はぜひ活用してほしい一品ですね。 付属していない機種もオプションで購入可能です。 |
プレートパン
別売りの波型プレートパン(↑)は底面に凸凹があり、食材から出た油が下に落ちるようになっているため、よりヘルシーな仕上がりが期待できます。 こちらはマルチグリルで使える焼き網といった感じです。 焼き網を使わないマルチグリルタイプに付属する基本容器です。魚や肉、トーストをマルチグリルのオート機能で自動調理することができます。 |
ザ・ココット
コンロ上でもグリル上でも使用可能な蓋つきの万能容器です。 最上位モデルの【デリシア】にのみ付属し、同機種のみの対応となりますが、コンロでは80℃の低温調理から無水調理・蒸し調理など、グリルではオーブン調理や解凍調理などが可能で、コンロで焼き目をつけてグリルでオーブン調理をするなど、これ1つで料理の幅を大きく広げる一品です。 また、リンナイ公式アプリ【プラスアールレシピ】に対応し、食べたいレシピを送信すると自動で火力調整を行い、待っているだけでおいしい料理が完成します。 出来上がりをそのまま食卓に出すこともできる汎用性もおすすめポイントです。 |
キャセロール
マルチグリルで使用できる蓋つきの深型万能容器です。 マルチグリルに対応していればどの製品でも使用可能ですが、【プログレ・ピアット用】と【スマートコンロ・プログレプラス用】の二種類があることに注意しましょう。 プレートパンでは不可能な「煮る・蒸す・燻製・低温調理」といった繊細な工程の自動調理に対応し、マルチグリルの魅力を存分に引き出します。 応用性が高く、パンやスイーツを焼き上げたりオリジナルのリゾットを作ってみたり、アイデア次第でいろいろな料理にカンタンに挑戦できるのもおすすめポイントです。 |
いかがだったでしょうか。
考えることが多すぎて、ますます何を選んでいいか分からない、という方もいらっしゃるかと思います。
もしビルトインガスコンロのご購入を検討される場合は、「お手入れを楽にしたい」「簡単においしい料理が作りたい」「万が一の時のために安全機能を充実させたい」「リフォームするからにはキッチンをおしゃれにしたい」など、現在のお困りごとや欲しい機能を整理して、ここだけは譲れない!というポイントを考えてみましょう。
思い当たる要素を備えた製品をさらに比較してみると、きっとぴったりのコンロが見つかると思います。
交換を考えている方に確認してほしいこと
現在システムキッチンへのリフォームを検討されている方、古くなったビルトインコンロの交換を検討されている方に確認してほしい項目をまとめました。
もうすでに購入したい製品が決まっている方も、いまいちど見返してみてください。
現在ご使用のコンロタイプは何ですか?
現在ご使用のガスコンロタイプ、現在のキッチンタイプによって可能な施工や必要となる費用は大きく変わっていきます。
まずは現在のキッチンがどのようなタイプか確認しましょう。
① 据置ガスコンロ
据置タイプからビルトインコンロへの交換の場合、システムキッチンへのリフォームかガスキャビネットの設置が必要になります。
コンロだけをビルトインコンロに交換することはできません。
② ガスキャビネット
セクショナルキッチンでビルトインコンロを使われている場合、現在ご使用のタイプは「ガスキャビネット」になります。
コンロ台にガスコンロが接続されているタイプの場合、ガスコンロのみの交換はできず、コンロ台ごとの交換になります。
ビルトインコンロを導入する場合、可能な施工は以下のとおりです。
●ガスキャビネット→ガスキャビネット[コンロ台ごと交換]
●ガスキャビネット→システムキッチン[キッチンリフォーム]
③ ビルトインコンロ
ビルトインコンロ→ビルトインコンロの場合はそのまま交換できます。
サイズが変わる場合には注意事項がありますので、【今お使いのビルトインコンロのサイズは?】をご確認ください。
お使いのコンロの下にオーブンはありますか?
コンロの下にガスオーブンが付いており、オーブンをそのまま残してコンロのみ交換を考えている場合、アダプター等の専用の部材が必要になりますので、必ず事前にご相談ください。
その場合、ビルトインコンロとオーブンのメーカーは同じである必要があります。
違うメーカーの製品ではガス配管の接続に互換性がないため、ガス漏れの危険性があります。
同メーカーでも取付ができない機種もありますので、交換をご希望の場合はお問い合わせください。
オーブンの機種から交換可能なビルトインコンロをご提案いたします。
ご自宅のガスの種類は何ですか?
ご自宅が都市ガス・LPガスのどちらであるかを確認しておきましょう。
都市ガスの場合は都市ガス用のコンロしか使えず、誤って対応しないガス種の製品を使ってしまうと不完全燃焼や火災の危険に繋がります。
また、都市ガスにしか対応していないモデルも一部存在するため、あらかじめガス種を把握しておくと機種選びの際に困りません。
ビルトインガスコンロをお使いの場合、電池ボックスを開けたところにガス種の記載があります。
今お使いのビルトインコンロのサイズは何ですか?
ビルトインコンロ→ビルトインコンロの交換であっても、交換後のサイズが交換前と違う場合にはいくつか注意点があります。
間違った製品を購入してしまうと、安全に使用できなかったり、そもそも設置できないこともあるので、事前にサイズを確認しておきましょう。
確認すべきところは「天板サイズ」と「本体サイズ」の2つです。
天板のサイズを測る
ビルトインコンロのサイズは、どの機種もグリル本体の横幅は同じであり、天板の大きさは幅60㎝と幅75㎝の2種類があります。
まずは今お使いのコンロの天板の横幅を測って、同じサイズのものを選ぶのか、サイズを変更するのかを考えましょう。
今お使いのサイズと違うサイズでも設置は可能ですが、注意点をご確認ください。
注意点:幅75㎝から幅60㎝に変更の場合
- 今まで設置していた天板の痕が残ってしまう場合がある
- コンロバーナーの間隔が狭くなる
幅60㎝から幅75㎝に変更の場合
- コンロの幅が左右あわせて15㎝大きくなる為、調理スペースが狭くなる
- 現在使用されているレンジフードの幅が60㎝だと、消防法の規定でレンジフードより幅以上のビルトインコンロが設置出来ない為、幅サイズの変更が難しい
本体の高さを測る
最近のビルトインコンロは規格が統一されており、メーカー問わず高さは22㎝です。
しかし、古い機種では高さが22㎝ではない製品もあり、通常どおりの設置が難しい場合もあるため、高さもしっかりと測っておくようにしましょう。
◆高さが22cm以上の場合
現在お使いのコンロ本体の高さが22㎝以上である場合、新しく設置するビルトインコンロ本体とコンロを設置する枠に隙間が生じます。
そのため、交換の際はこの隙間を「フィーラー」という部材で埋める必要があります。
◆高さが22cm未満の場合
現在お使いのコンロ本体の高さが22㎝未満である場合、コンロのみの交換はできません。
コンロ下のキャビネットごと一緒に交換する必要があるため、その場合は事前にご相談ください。
ガスの元栓はどのようなタイプですか?
◆元栓が左奥にあり、まっすぐ接続されている
現在のキッチンでよく見られるのはガスの元栓が左奥にあるパターンです。
状態によっては交換が必要になることもありますが、この場合は問題なく使用ができることが多いです。
◆元栓がジャバラ形状になっている
配管がジャバラ形状になっているガス可とう管の場合は接続部分に金属フレア加工が施されており、再利用してしまうとガスもれを起こす危険性が高いため、法規上で再利用が禁止されています。
ビルトインコンロ取替の際は、一緒に交換する必要があるため追加料金が発生します。
工事の流れ
ビルトインコンロを購入されたあと、実際にキッチンでご使用いただくまでの工事の流れを説明します。
工事の流れ
ガス管からガスもれがしないか確認し、ガスを止栓します。
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既存品撤去、既存コンロのゴトクを取り、天板を外しその後コンロを外します。
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新しいコンロをキッチンにはめ込みます。本体を入れ終わったら、次にグリルを取り付けます。乾電池式のコンロならば、乾電池ケースに乾電池を、電源式のコンロであれば、電源にコンセントを差して、コンロを使用できるようにします。
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ビルトインコンロの天板をキッチン天板に水平に取付ます。天板周りをしっかりとネジで固定します。
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排気口部分の部材やゴトクなどを取付したら設置完了です。
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ガスの開栓を行います。
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点火のチェックや接続不良などのチェックを行います。
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使用説明を行い、工事の完了となります。
工事の時間
ビルトインコンロのみ交換の場合ですと、1~2時間程度で完了します。(ビルトインコンロの下にガスオーブンが付いている場合など現場によっては工事時間が異なります)
ここまでご覧いただきありがとうございます。
ビルトインコンロ、キッチンのリフォームに関して何かご不明な点がありましたら、どんな些細なことでも気軽にご相談ください。
リフォームのプロが責任をもって回答いたします。